Claude CodeでLP修正を実験した結果、定型作業で約76%の時間削減を達成。デザイナーの役割は実装者から戦略的設計者へシフトし、AIディレクション能力が新たな必須スキルとなる時代の変化を解説します。
「ちょっと余白だけ広げたい」「FVの文字、もう少し大きく」「CTAボタンの色をブランドカラーに寄せたい」。LP運用をしていると、毎日のように発生するこの手の小さい修正。以前は自分で開いて、CSSを書き換えて、ローカルで確認して、コミットして、デプロイして……という工程を踏んでいました。
最近、これをClaude Code に丸投げするようになりました。最初は半信半疑でした。「どうせ細かい余白とかは無理だろう」「レスポンシブで崩すだろう」と思っていたのが正直なところです。けれど、数週間使い倒した結果、はっきりと言えることがあります。
"修正作業"そのものよりも、"修正の指示の仕方"のほうが、自分の仕事の核になってきている。
この記事は、Claude Code に LP 修正を投げ続けてみた実体験のレポートです。「驚いたこと」「想像以上にダメだったこと」「結局、人間に残った仕事」を、現場感のまま書きます。

最初は本当に軽い気持ちでした。「ローカルで CSS いじるのが面倒だな」というだけの理由で、Claude Code に依頼を投げ始めたのが入り口です。
頼んだ内容は、どれも"日々のLP運用で発生する地味な修正"ばかりでした。
ボタンの余白を広げる
FV の文字サイズと行間を調整する
CTA セクションの背景色を変える
スマホ表示で見切れているテキストを直す
カードコンポーネントの角丸とシャドウを整える
セクション間のマージンを統一する
ホバー時のアニメーションを少し弱める
"自分でやれば10〜20分"レベルの修正たちです。ただ、これが日に何件も積み上がると、地味に時間を持っていかれる。そういう類の作業を、片っ端から Claude Code に渡してみることにしました。
結論から書くと、想像していたよりずっと"普通に"修正されて返ってきます。最初の数日は、毎回、軽く驚いていました。
具体的に、ちゃんと処理されたものを並べるとこんな感じです。

とくに感心したのは、「該当箇所を勝手に探してくる」力です。「あのカードの角丸を少し弱めて」とだけ言っても、コードベースを読みに行って、対象のクラスを特定して、必要な箇所だけを書き換えてくる。grep で当たりをつけて、修正範囲を最小にしようとする挙動が、明らかに人間の作業手順と同じです。
CSS の知識面でも、十分すぎるくらい安定しています。margin / padding の使い分け、flex と grid の選択、メディアクエリの書き方、hover の感じ。"平均的に上手いコーダー"レベルの判断は、もう普通に出てきます。

ここまで読むと「じゃあ全部 Claude Code でいいじゃん」となりそうなのですが、現場で使い倒すと、明確に詰まるポイントも出てきます。ここを書かないと、フェアじゃない。
実際に詰まったパターンを、リアルなまま並べます。

とくに「ここだけ直して」が想像以上に苦手です。たとえば「FV のボタンだけ余白を広げて」と頼んだのに、ページ内の他のボタン共通クラスごと触られて、結果として全ページのボタンが太ってしまう、というのは何度か遭遇しました。
レスポンシブの落とし穴もあります。PC では完璧に直っているのに、SP で見るとレイアウトが崩れている。逆に、SP に最適化したつもりが PC でテキストが間延びしている。プレビューを自分で確認しないと気づけない種類のミスは、一定の頻度で発生します。
あと、地味に効くのが"デザイン意図の読み違え"です。たとえば「CTA を目立たせて」と言うと、ボタンを赤くしてサイズを倍にして影をつけて……みたいな"全部盛り"が返ってくることがあります。本当に欲しかったのは「現状の落ち着いたトーンを保ったまま、視線が留まる強度だけ上げる」だったりするのですが、その粒度の指示は、こちらが噛み砕いて渡さないと届きません。
使い込むほど、はっきりと体感していることがあります。
仕事の重心が、"手を動かす"から"どう伝えるか"に、完全に移った。
以前は、こうでした。
従来のLP修正:違和感を見つける → 自分で開く → CSSを書き換える → ブラウザで確認 → 微調整 → コミット。"作業"が仕事の中心で、見つけてから直すまで自分の手で完結していた。
今は、こうなっています。
AI時代のLP修正:違和感を見つける → "どこを・どう直したいか"を言語化する → Claude Code に依頼 → 出てきた差分を読む → ブラウザで確認 → 必要なら追い指示 → コミット。"作業"ではなく"指示と判断"が仕事の中心になっている。
結果、めちゃくちゃ感じるようになったのが、「言語化のうまさ」がそのまま成果物の質に直結するということです。同じ修正でも、こちらの伝え方次第で、出てくるものが大きく変わります。

右側の指示はどれも、"修正後にどうあってほしいか"が具体的です。Claude Code が強いのは、ここまで噛み砕いてもらった上での"実装"の部分。だから、自分が事前に「何を変えて、何を変えない」をはっきり持っていれば持っているほど、出力の精度が跳ね上がります。
逆に、ふわっと投げて、ふわっと返ってきて、「なんか違うな」を繰り返している時間が一番もったいない。これは AI 全般に共通する話ですが、LP 修正という具体的な作業に落とすと、より露骨に効いてきます。

ここまで読んで、「じゃあデザイナー、要らないじゃん」と思った方もいるかもしれません。けれど、現場の体感はまったく逆です。
デザイナーの仕事は無くなったのではなく、"重心がズレた"だけです。
具体的には、こういう変化が起きています。
01
"手を動かす"から"判断する"へ
余白を1px動かす作業そのものは AI でできる。けれど「この LP の文脈で、余白を動かすべきか/動かさないべきか」の判断は、人間の側にしか残らない。むしろ判断の量は増えている。
02
"作る"から"設計と検収"へ
AI に作らせる時代は、「何を作るか」の設計と、「上がってきたものが意図通りか」の検収が仕事の大半を占めるようになる。設計が雑だと、AI の生産性をまるごと無駄打ちにする。
03
"スキル"から"言語化力"へ
CSS が書けることより、"どう直したいかを言葉にできる"ことのほうが、現場での価値が上がっている。デザインの意図を、コードを書けない人にも伝わるレベルで言語化する力が効いてくる。
04
"単発の修正"から"運用判断"へ
1ヶ所だけ直すなら AI に任せられる。けれど「このLPで、今、何を直すべきか」「どの順番で改善するか」「どこは触らないほうがいいか」の判断は、運用全体を見ている人にしかできない。
つまり、"修正する人"から"判断する人"への、静かなロールシフトが起きています。手を動かす作業は AI に渡せるようになった分、その上のレイヤー(何を直すか/何を直さないか)に体重がかかってきている、という構造です。

ここまでの体験を踏まえて、自分の中で固まってきた"使い方の実務ルール"を共有します。これから AI に LP 修正を任せたい人の、最低限の地図になればと思います。
変更前に「触ってほしくないファイル/クラス」を明示する
「ここだけ直す」系は、対象セレクタやファイル名を最初に渡す
レスポンシブは PC / SP どちらの基準で直すかを必ず宣言する
"目立たせて"などの抽象指示は、強度(数値や比較対象)に翻訳して渡す
差分は必ず自分の目で確認する。ブラウザでのプレビューを省かない
意図と違う改変が出たら、"なぜそう判断したか"を聞いてから修正方針を渡す
同じ改修パターンが3回出たら、共通クラス/変数に切り出す指示も同時に出す
地味ですが、これだけで Claude Code の出力品質はかなり安定します。要するに、「人間側が雑な指示を投げないこと」「最終判断は人間側が握ること」。この2つを守るだけで、AI 修正は十分に実務戦力になります。
最後に、本記事の流れを1枚で整理します。

Claude Code に LP 修正を丸投げしてみて、はっきり分かったことがあります。「余白もう少し広げて」のひと言で LP が直る時代は、もう来ています。けれど、その"ひと言"を、的確に、適切な粒度で、適切なタイミングで投げられる人は、まだ全然多くありません。
デザイナー・コーダーの仕事が消えるわけではありません。"作業"の比重が抜けて、"判断"と"言語化"の比重が一気に増えた、というだけです。手を動かせる力は土台として残しつつ、その上に、判断と言語化の筋肉を乗せていけるかどうか。AI 時代のLP運用は、たぶんそこで差がつきます。
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