AIツールに3万円の予算でWeb制作を依頼し、コーポレートサイトを実際に構築。従来の外注と比較して費用90%削減、時間85%短縮を実現した検証レポート。できたこと・できなかったことを詳細に解説します。
少し前なら、「3万円でLPを1本作る」と聞いた時点で、ほぼテンプレートをそのまま使う前提の話でした。企画して、コピーを書いて、デザインして、コーディングまでやって3万円。どう考えても割に合いません。
ところが2026年現在、状況は明らかに変わりました。ChatGPTにコピーを書かせ、Claudeに構成を考えさせ、GPT Imageに画像を作らせ、Codexにコーディングさせる。人間の手は「指示と判断」だけで済む場面が、急速に増えています。
だとすると、こう問いたくなります。
AIに3万円分のWeb制作を頼んだら、実際どこまで作れるのか?
気になったので、ちゃんと検証してみました。

検証の前提を、はっきりさせておきます。「AIをちょっと使う」では何を測っているのか曖昧になるので、ルールはガチガチに決めました。
|
項目 |
内容 |
|---|---|
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仮想案件 |
AI研修サービスのLP(1ページ完結) |
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予算 |
3万円相当(人間1日分の人件費) |
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利用ツール |
ChatGPT / Claude / GPT Image / Codex のみ |
|
人間の役割 |
指示出し・判断・最終チェックのみ |
|
制作範囲 |
ワイヤー / コピー / デザイン / コーディング |
普通のWeb制作会社にこの内容を発注すると、軽く30〜80万円ほどはかかる規模感です。それをAIだけで、3万円分の労働量で、どこまで形にできるかを試します。
このルールの裏側:人間の手を動かす時間を「1日分」に固定したのがポイント。AIのアウトプット時間は実質ゼロに近いので、ボトルネックは"AIを使う人間側"にしかない。3万円という金額は、その人間の時間の上限と読み替えてもらってOK。
進めた順番に、ざっと書いていきます。それぞれの工程で、誰に何をやらせたか。スクショは大量に撮ったので、要所要所で挟みます。
最初の工程はワイヤーです。Claudeに「AI研修サービスのLP構成を10案、目的別に出して」と頼みました。出てきた10案を眺めて、「BtoB決裁者向けで、導入後の運用支援まで訴求するパターン」を採用。ここまで15分。
所感としては、「ゼロから構成を考える」のはAIが一番得意な領域でした。セオリーをいくつも組み合わせて並べてくれるので、人間は"どれを選ぶか"の判断に集中できます。

次にコピー。ChatGPTに「採用した構成に沿って、FV / 各セクションの本文 / CTA文言を3案ずつ出して」と依頼。1セクションあたり3案を眺めて、いいものを採用し、気に入らない部分は「ここをこう変えて」と追い指示。ここまで合計1時間。
コピーは"そこそこ"の品質でした。論理は通っていて、誤字脱字もなく、致命的な変な文もない。ただし、後述しますが、"勝ちにいくコピー"とは少し違うものが出てきます。
デザイン工程は2段階。まずGPT Imageで、FV用のキービジュアル / 各セクションの挿絵 / アイコン群を生成。次にCodexに、構成とコピーと画像を渡して「TailwindベースでLPを1枚作って」と指示。
キービジュアルは10枚以上生成して、ようやく1枚採用。挿絵は割と1〜2枚で決まりました。ここまで合計2時間。

最後がコーディング。Codexに、構成・コピー・画像・デザイン方針を全部渡して、HTML/CSSをまとめて生成させました。レスポンシブ、アクセシビリティ、軽量化、までざっくり指定。出てきたコードを見て、おかしい部分を「ここを直して」と何度かやり取り。
ここがいちばんAIが強かった工程です。レイアウト崩れも数か所あったものの、修正指示で素直に直る。所要時間はわずか1.5時間ほどで、ほぼ動くLPが出てきました。
正直に言うと、想像していた完成度の倍くらいのものが出てきました。「3万円分」と言わなければ、普通に納品されても気づかれないレベルです。良かったポイントを並べます。
01
デザイン案は十分に綺麗
余白・配色・タイポは、平均的な"よく見るLP"の水準を普通に超えてくる。少なくとも"パッと見で素人っぽい"ことはまずない。デザインの平均点は明確に底上げされている。
02
コピーもそこそこ通る
論理が破綻しない、てにをはが綺麗、業界の汎用フレーズは正しく使える。日本語として違和感のあるアウトプットは、ほぼ出てこない。"読める"レベルは余裕で超える。
03
コーディングはかなり強い
4つの工程の中で、いちばん成果物の完成度が高かったのがコーディング。レスポンシブ対応、画像最適化、軽い改修依頼、すべて素直に通る。"とりあえず動くLP"までは確実に作れる。
04
とにかく速い
合計の所要時間は、人間1日には収まる規模。ゼロから構成→コピー→デザイン→コーディングまでを1人で1日。これは数年前なら間違いなく無理だった。
とくに驚いたのは、コーディングです。HTMLとCSSの細かい修正を口頭ベースで通せるので、「ここを少し狭めて」「この余白を倍に」みたいな指示が一発で入る。Web制作の現場で一番時間を食っていた"細かな調整作業"が、明確に短縮されました。

ここからが本記事のいちばん大事な部分です。AIに3万円分やらせて、見た目はそこそこのLPが出てきました。ただ、"成果を出すLP"として見ると、明確に届かない領域がありました。
具体的には、この3つです。
順番に見ていきます。
AIに「AI研修サービスのLPを作って」と頼むと、教科書的な"AI研修サービス全般"のLPが出てきます。これは間違いではないのですが、現場のLPに必要な「うちの顧客は、こういう人で、こういうことに困っていて、こういう言葉に反応する」という解像度は、まず出てきません。
たとえばコピーひとつとっても、AIは「AI活用の社内浸透を加速させます」みたいな汎用フレーズを書いてきます。読めはする。けれど、本当の顧客が反応する言葉は「経営層がAIに後ろ向きで、現場が動けない」みたいな、もっとシーンの解像度が高い表現だったりします。これはAIが書けない。情報を渡していないから。
競合との差別化も、AI単独では難しい部分でした。AIに「強みを出して」と頼むと、「実績が豊富」「柔軟に対応」「カスタマイズ可能」「アフターサポート充実」みたいな、競合が全員書いているフレーズが並びます。
これは本当に普通に並びます。AIは"その業界で一般的に強みとされる項目"を知っているので、それを綺麗に並べてくる。でも、それは比較表に並んだ瞬間に、競合と同じ列で消えていく強みです。
差別化は"事業側にしかない情報"が必要:本当に効くのは、「他社が3週間かかる初期設計を1週間でやる」「導入後3か月の運用伴走が標準で付く」みたいな具体です。AIは事業の内側を知らないので、ここは人間が言語化して渡さないと、ふんわりした強みしか出てきません。
これが、いちばん根が深い問題でした。AIは"絞らない"傾向があります。「BtoB SaaSの広告担当者向け、それ以外は対象外」みたいな鋭い絞り込みを、自発的には出してきません。むしろ「幅広いお客様にご利用いただけます」のような、優しい言い回しに寄ります。
でも実際のLPでは、ターゲットを絞り切るほど刺さるのは、もはや常識です。AIに任せると、絞り込みの判断は人間がやらない限り、まず出てきません。「誰に向けるか」を決めるのは、AIではなく事業判断の領域だからです。

ここまでをまとめると、こういう構図が見えてきます。
|
領域 |
AIだけで届く |
人間が必要 |
|---|---|---|
|
ワイヤー / 構成 |
◯ |
選定 |
|
コピー初稿 |
◯ |
勝ち筋の指定 |
|
デザイン |
◯ |
採用判断 |
|
コーディング |
◎ |
動作確認 |
|
顧客理解 |
× |
必須 |
|
差別化 |
× |
必須 |
|
ターゲット絞り込み |
× |
必須 |
AIが得意なのは、上半分の「形にする」工程です。ここは確かに3万円分の労働量で、それなりのものまで届きます。
一方、下半分の「誰に・何を・なぜ届けるか」は、AIだけでは届きません。事業の中にしかない情報が要るので、当然と言えば当然です。
今回の検証を一行でまとめるなら、こうです。
3万円分の制作物は、AIだけで普通に作れる。ただし、30万円分の成果は出ない。
ここを取り違えると、たぶん事故ります。「AIで作れる」を「AIで売れるLPが作れる」と読み替えてしまうと、見た目は綺麗だけれど成果が出ないLPが量産されます。実際、最近そういうLPは明らかに増えています。
逆に言うと、ここの線引きが見えていれば、AIはものすごく強力です。"形にする"工程は3万円分まで圧縮できるので、浮いた予算と時間を、AIに任せられない領域に振り直せる。具体的には、こういう配分です。
01
顧客インタビューに時間を使う
形を作る時間が減った分、誰のためのLPかをちゃんと聞きにいく時間を増やす。"作る前の情報量"が成果を決める領域に、人間の手を寄せる。
02
差別化の言語化に時間を使う
「うちの本当の強み」を、AIが書けないレベルで具体に言語化する。AIに渡せば、その粒度で書き直してくれる。"渡す材料"を作るのが人間の仕事になる。
03
ターゲット絞り込みを決める
誰向けか、誰向けでないかを人間が決めて、AIに固定値として渡す。AIは絞り込みを自発的にしないので、ここは人間の判断を最初に通す。
04
運用と改善に時間を使う
作ったあとの数値を見て直す工程は、AIだけでは閉じない。"作って終わり"を脱して、運用・改善のサイクルに時間を回せるかどうかが、成果の分かれ目になる。
「AIに3万円分頼んだらどこまで作れるのか」の答えは、思っていたよりずっと遠くまで行けるものでした。同時に、「AIに頼めない部分」の輪郭も、これまで以上にはっきり見えました。
3万円で"形"は作れる。残りの27万円分は、"中身"に使う。これくらいの配分が、AI時代の現実的な制作予算の組み立て方なのかもしれません。

今回はLP1本でしたが、同じ枠組みで試せそうなテーマはたくさんあります。次にやってみたいリストを置いておきます。
AIだけで3時間、Web制作してみた
AIだけで営業資料を作ってみた
AIだけで会社サイトを1日で立ち上げてみた
AIだけでメルマガを30本書いてみた
AIだけで広告クリエイティブを100本回してみた
どれも「AIに任せられる範囲」と「人間しかできない範囲」の線が、それぞれ違う場所に引かれるはずです。試した結果は、また記事にしていきます。
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